OPENING THE ARCHIVE

深海への扉を、開いています……

0%

深淵生物誌ABYSS ARCHIVE · 1926-Ω

ミスカトニック大学図書館・特別収蔵室 ― 目録番号 1926-Ω

The Call of Cthulhu · A Bestiary of the Mythos

死せるものは、 永遠に横たわる。

「そして永劫の果てには、死すらも死に絶える」 ― アブドゥル・アルハズレド

これは、海の下で・星の彼方で・夢の隙間で眠る者たちの記録である。読むことは招くことであり、知ることは少しだけ変わってしまうことだ。それでも貴方は、頁をめくるのか。

南緯47°9′ 西経126°43′ ルルイエ ― 沈める都 脅威度:神格 SAN 1d10 / 1d100
DESCEND深淵へ降りる

Prologue ― 序文

この書を開いた貴方へ

一九二六年、ミスカトニック大学図書館の特別収蔵室に、ある写本が持ち込まれた。目録係はカードにただ一行「見るな、聞くな、語るな」とだけ記して、長い長い休暇に出た。本書は、そのカード目録を再構成したものである。禁書と探検家たちの手記から編まれた、いわゆる「クトゥルフ神話」の生物誌だ。

彼らは星の生まれる前から在り、星の燃え尽きた後も在り続けるという。人類とは、彼らが長い眠りの合間に見る短い夢にすぎないのかもしれない。あるいは、忘れられた惑星の表面に、知らぬ間に生えた苔のようなものか。

なお、本書の閲読によって貴方の正気度が実際に削られることはない。ただし悪夢を見た場合は、寝る前の読書とコーヒーのせいにしてほしい。――編者註

◈ 閲覧にあたって 本サイトは架空の創作にもとづくファン作品であり、幻想的・怪奇的な描写を含みます。閲覧中に気分が優れなくなった場合は、ページを閉じてゆっくりお休みください。忘れることには、まことに治療的効果があります。

Chapter 01 ― The Great Old Ones & The Outer Gods

神々 ― 旧支配者と外なる神

以下に収録したのは、人類の記録にかろうじて名を残した八柱である。名を知ることと、名を呼ぶことは違う。後者は、そっと心に留めておく程度がちょうどよい。

01

REC. 1928 · WEIRD TALES

旧支配者の大司祭 ― 死せる夢見るもの

クトゥルフ

CTHULHU — The Call of Cthulhu, 1928

存在種別
旧支配者
居所
沈める都ルルイエ(南太平洋)
SAN喪失
1d10 / 1d100
脅威度
神格

南太平洋に沈む都ルルイエにて、永遠の夢を見る旧支配者の大司祭。その姿は歩む山岳のようであり、顔面は蛸のごとき触手の塊、背には名残りの翼、鉤爪は軍艦の装甲すら濡れた紙のように丸めると伝えられる。星々が正しき位置に来たるとき、ルルイエは浮上し、彼は再び地上を歩くという。

その信奉は、いかなる人間の宗教よりも広く深いとされる。ルイジアナの沼沢からグリーンランドの氷岸まで、上海の路地から芸術家の夢にまで、感受性ある魂は彼の「呼び声」を悪夢と霊感のかたちで受け取る。一九二五年の「アラート号事件」――一時浮上したルルイエを目撃した帆船の乗組員たち――は、近代における唯一の直接遭遇例として封印されている。

「その家、ルルイエにおいて、死せるクトゥルフは夢見て待つ」

— The Call of Cthulhu(1928)
02

REC. 1920 · THE UNITED AMATEUR

這い寄る混沌 ― 外なる神の使者にして魂

ナイアーラトテップ

NYARLATHOTEP — Nyarlathotep, 1920

存在種別
外なる神
居所
遍在 ― 千の姿
SAN喪失
1d10 / 1d100
脅威度
神格

外なる神々の「魂にして使者」。ただ一人、人間のあいだを喜びをもって歩く存在である。背の高い黒いファラオ、三つ目の蝙蝠のような影、顔のないスフィンクス――千の姿を持ち、そのすべてが「本体」だという。無関心な神々の中で、彼だけが人類に「関心」を持っている。それゆえにこそ、最も注意すべき相手とされている。

彼は破壊しない。説得する。わずかに進みすぎた技術を渡し、わずかに甘すぎる教義を囁き、文明が静かに変わっていくのを嬉しそうに眺める。歴史上のあらゆる不可解な転機には、彼の指紋が残されている――そして、それを証明できる者は誰もいない。見知らぬ男が妙に親切だったなら、その申し出は丁寧に断るのが賢明である。

「そして、その奇妙な夜明けとともに、世界は静かに変わり始めた」

— Nyarlathotep(1920)
03

REC. 1938 · FRAGMENT

盲目の痴愚の神 ― 究極の混沌の魔王

アザトース

AZATHOTH — Azathoth, 1938(断章)

存在種別
外なる神(魔神の長)
居所
究極の混沌の中心
SAN喪失
1d10 / 1d100
脅威度
∞ 計測不能

あらゆる次元の彼方、究極の混沌の中心にて、闇のなかに夢を見る魔神の長。その周囲では、理性を失った笛の細く単調な調べと、くぐもった太鼓の連打が永遠に踊り続ける。この宇宙は、盲目の痴愚の神が見ている束の間の夢にすぎない――そう囁く賢者は、決して少なくない。

もし彼が目覚めれば、夢は終わる。星も、物理法則も、貴方の記憶も、いま貴方が読んでいるこの頁も、最初から存在しなかったかのように消えてしまうだろう。だからこそ笛は鳴りやまず、太鼓は打ち続けられる。この宇宙で最も心強い事実は、その創造主が、いまのところ大変よく眠ってくれているということだ。

「……笛の細く単調な調べと、くぐもった太鼓の音に合わせて」

— The Dream-Quest of Unknown Kadath(1927)
04

REC. 1929 · WEIRD TALES

万物即一 ― 閾に潜むもの

ヨグ=ソトース

YOG-SOTHOTH — The Dunwich Horror, 1929

存在種別
外なる神
居所
門の外側 ― 鍵の彼方
SAN喪失
1d10 / 1d100
脅威度
神格

無数の虹色に光る球体の集合体。それぞれの球は門であり、それぞれの門は時間である。ヨグ=ソトースは「門」であり「鍵」であり「門の番人」であり、あらゆる時間とあらゆる場所に同時に存在し、過去・現在・未来のすべてを知る。触れればすべてを知ることができる。すべてを知った者は、もはや以前と同じ人間ではいられない。

一九一三年、ダンウィッチの村に、彼は「子」を遺した。ラヴィニア・ウィートリーから生まれた双子――ひとりは人の形をしており、もうひとりは、誰も形容すべきでない形をしていた。一九二八年の「ダンウィッチの怪」事件は、その見えざる半身が門を完全に開きかけた、最も危うい瞬間として記録されている。それを食い止めた三人の学者は、見たものを生涯語らなかった。

「ヨグ=ソトースは門を知る。ヨグ=ソトースは門である。ヨグ=ソトースは鍵であり、門の番人である」

— The Dunwich Horror(1929)
05

REC. 1927 · THE LAST TEST

千匹の仔を産みし森の黒山羊

シュブ=ニグラス

SHUB-NIGGURATH — The Last Test, 1927(呪祷)

存在種別
外なる神
居所
深き森 ― ユゴスの暗黒面
SAN喪失
1d10 / 1d100
脅威度
災厄

深き森にて崇められる豊穣の神。その姿を正気で目撃した者はいない。記録にあるのは、ただ反復される断片のみ――黒く粘液に満ちた雲のような塊、無数の口から泡を滴らせ、蹄と角が絶えず生まれ、そして呑み込まれていく。「千匹の仔」と呼ばれる暗い子らは、多くの世界へ種のように蒔かれているという。

いかなる神よりも、その名は儀式で頻繁に呼ばれる。「イア! シュブ=ニグラス!」――この叫びは、ヒュルペルボレアの石環からアヴェロワーニュの森、ルイジアナの農園、ユゴスの暗黒面に至るまで響き続けている。彼女は、どの神よりも気前よく祈りに応じる。ただし、その恵みには必ず「贈り物」がついてくる。断り方を知らない者には、少し荷が重い。

「イア! シュブ=ニグラス! 千匹の仔を産みし森の黒山羊よ!」

— 伝承的呪祷
06

REC. 1895 · CHAMBERS

名付けてはならぬもの ― 黄の王

ハスター

HASTUR — The King in Yellow, 1895

存在種別
旧支配者
居所
黒い星の彼方、カルコサ
SAN喪失
1d10 / 1d100
脅威度
災厄

その名を口にすることは、招くことである。これは比喩ではない――音の振動が、通路になる。彼は「名付けてはならぬもの」と呼ばれ、黒い星の輝く彼方の都市カルコサにまします。「黄の王」のぼろ布と、彼の名を冠した戯曲が、彼の到来に先立つ。『黄の王』の第二幕を読んだ者は心を遠くへやり、第一幕を読んだ者は、読むのをやめられなくなるという。

その印は「黄の印」――空間に開いた傷口のような螺旋の紋章。印を持たされた者には、やがて「風」が訪れるようになる。方角もなく、窓もなく、季節もなく吹く風。風がやんだとき、物語はいつも、どこかの頁で静かに終わっている。――なお、この頁に記された「ハスター」の綴りは、安全である。たぶん。

「岸に沿って、雲の波が砕ける。二つの太陽が湖に沈み、影は長く伸びる ― カルコサにて」

— カッシルダの歌(The King in Yellow)
07

REC. 1917 · THE VAGRANT

父なるダゴン ― 深きものどもの主

ダゴン

DAGON — Dagon, 1917

存在種別
旧支配者(小神格)
居所
インスマス沖、深淵
SAN喪失
1d6 / 1d20
脅威度
脅威

海の支配者。魚と蛙のあいだのような種族「深きものども」の父にして、ニューイングランド沿岸における最古の崇拝対象。一八四六年、インスマスの船長オベド・マーシュが南洋から持ち帰った「ダゴン秘密教団」は、金と魚と「永遠の命」を約束した。町はその三つを選び、その代価は町の未来で支払われた。

干潮のたびに姿を現すデビル・リーフの巨石は、彼の祭壇である。一九一七年、貨物船の乗組員が残した唯一の目撃証言はこうだ――「灰色の巨大な何かが、冠を戴いて水面から起き上がり、月へ向かって両腕を伸ばした」。一九二八年二月の連邦急襲により、教団は公式には解散した。公式には、である。

「それが海から来たことは知っている。海へ帰っていったことも。海は、自分のものを必ず取り戻す」

— Dagon(1917)
08

REC. 1931 · SATAMPRA ZEIROS

ンカイの蟇神 ― 闇に眠るもの

ツァトゥグア

TSATHOGGUA — The Tale of Satampra Zeiros, 1931

存在種別
旧支配者
居所
ヴォーミサドレフ山下、ンカイ
SAN喪失
1d8 / 1d100
脅威度
災厄

地下深く、光なき洞窟ンカイに蹲る、黒く柔らかく毛むくじゃらな、蟇の顔と怠惰の性質をあわせもつ神。ツァトゥグアは狩りをしない。待つ。信奉者たちは七つの門を経て供物を捧げに降りてくるが、彼はすべてを見飽きた神の無関心で、それを受け取る。

ヒュルペルボレアの魔術師エイボンは、その姿をこう記録した――「蟇のごとく、樹懶のごとく、蝙蝠のごとく、しかしていかなる地上のものにもあらず」。その教団は小さいが古く、恵みは「知らざるべき知識」のかたちで与えられる。彼が吐き出す不定形の落とし子たちは、いまも闇の奥を静かに彷徨っている。――第七の門は、叩かないこと。

「それは神のごときものだった。黒く、柔らかく、蟇の顔と蝙蝠の毛皮を持っていた」

— The Tale of Satampra Zeiros(1931)

Chapter 02 ― Bestiary

生物誌 ― 眷属と異形のものども

神々は眠っている。しかし、その眷属は起きている。以下は、遭遇報告・検体・素描から復元された十二の個体記録である。

◈ カードをクリックすると、個体記録票(検体シート)が開きます。

Chapter 03 ― Forbidden Tomes

禁書 ― 焼かれなかった書物

書物は燃やせる。だが「写し」は燃やせない。そして写しは、しばしば原本より行儀が悪い。

横に引いて書架を辿れ ― DRAG TO BROWSE THE SHELF

Chapter 04 ― Forbidden Geography

禁忌の地 ― 地図から消された場所

行ける場所と、行ってよい場所は違う。以下は、その両方を満たさなかった土地の記録である。

Chapter 05 ― Chronicle of the Abyss

年代記 ― 深淵のあゆみ

人類の歴史は、彼らの歴史のなかの、句読点にも満たない。

Interlude ― The Language of R'lyeh

間奏 ― ルルイエ語

Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn

Iä! Iä! Cthulhu fhtagn ― 万歳! 万歳! 偉大なるクトゥルフは夢見ておられる!

ルルイエ語は、子音と apostrophe で構成され、母音をほとんど持たない。あたかも、人間の発声器官がその本来の話し手ではないかのように。各語にカーソルを合わせると、(学界で議論の続く)訳語が表示される。

Trial ― Sanity Check

試練 ― SAN値判定

クトゥルフ神話TRPGにおいて、理解しがたいものとの遭遇は「SANチェック」で処理される。d100を振り、現在のSAN値以下なら成功。失敗すれば1d10の喪失。――賽は正直だ。それが、賽の愛嬌である。

下の目盛りで、貴方の現在の正気度(SAN)を設定せよ。初期値は65――平均的な成人の、いくらか夢想がちな精神状態である。準備ができたら、賽を振れ。これはゲームであり、貴方の実際の精神は少しも傷つかない。

状態:正常

D100 ROLL ― 運命の一振

--

判定を待っている。

貴方の背後には、いまのところ、何もいない。

RECORD ― 判定記録

  • ― いまだ記録なし。貴方は、まだ正気だ。 ―

Marginalia ― Testimonies

余白の声 ― 探検家たちの手記

「私は海に形があるのを見た。形があり、意思があり、そしてそれは、ゆっくりとこちらへ向かっていた」

― グスタフ・ヨハンセン、船員(アラート号唯一の帰還者)

「マーシュ家の人たちは海へ行ったんじゃない。海のほうが、迎えに来たんだ。そこが違う」

― ザドク・アレン、インスマス在住

「幾何学が間違っていた。内側と外側に同時に開く扉は、扉ではない。あれは、口だ」

― ダンウィッチで発見された測量師の手記、氏名不詳